【蜜芋屋”縁”人生の転機】

2020年の大晦日、約20年間勤め続けたパチンコ法人を退職し、僕が「心から温かくなれる仕事」に出会うまでのお話です。

■40代初めての転職、異業種への挑戦

こんにちは、蜜芋屋”縁”のこばやしと申します。僕はいま千葉県香取市で江戸時代から300年も続く歴史あるさつまいも農家さんで生産アシスタントをする傍ら秋冬季には成田界隈を拠点に焼き芋屋さんとして活動しています。

でも実はほんの数年前まで、僕はまったく別の世界にいました。2001年から2020年の約20年間、パチンコ会社で働いていたんです。

■ 充実の裏で、何かが欠けていた20年

私が19歳のとき父が45歳という若さで不幸にも急死してしまいました。死因は心筋梗塞です。あまりにも急な不幸が舞い込み家族みんな悲しみの底につき途方に暮れる毎日。何日も寝込んでしまう母を横目に残された家族の生活費の工面を少しでもと考え家の近くにあった大手パチンコチェーン店でアルバイトを始めました。最初は現場ホールスタッフとして必死に働きアルバイトリーダーを任されるように。そして2年ほどが経ち店長の推薦を受け就職するまでに至りました。

アルバイトから社員になった理由は特にありませんが就職氷河期世代の私は店長の推薦がとても嬉しく入社を決めた事を今でもよく覚えています。

当時のパチンコ業界は30兆円産業で景気もよく収入面はとても安定していて世間的には“勝ち組”と言われる部類だったかもしれません。でも心の中にはずっと何か満たされない空洞のようなものがありました。

売上や利益などの数字に追われお客様に頭を下げ自分に苛立つ日々、、、なにか心を置き去りにし働き続けていました。

■ 人生を変えた1本の焼き芋

ある冬の休日、千葉県香取市へ出かけた際にふらっと立ち寄った道の駅に人生の転機が訪れました。
もともとさつまいもは好きで良く焼き芋を食べたりしてましたがその時に買って食べた1本の焼き芋——それが僕の人生を変えたと言っても過言ではありません。生産者は「さつまいもの石田農園」甘熟紅はるか。皮ごと食べた芋は驚くほど美味しく口の中に残る独特の風味をしていて今まで食べてきた焼き芋とは別次元の旨味をしていたのを今でも覚えています。そしてなぜか涙が出そうになりました。

そして思ったんです、、「…俺、この芋作ってたくさんの人に届けたい‼」と。

その時なぜそう思ったのか正直自分でもよく分かりません。美味しさにただただ感動し農業やって焼き芋屋目指そうって・・。

■ 退職、そして農業の世界へ

それから私は自分の今後の人生について真剣に考えました。全国的な人口減少=遊技人口減、そこにコロナ禍という有事もありシュリンクしていくパチンコ業界。「俺このままでいいのかな・・」と。そして2020年大晦日、約20年勤めた会社を退職しました。

年明けすぐに東京から引っ越した先は千葉県成田/富里市。そこから農園のある香取市までは車で30分ほどの距離。香取市はさつまいもの名産地でいたるところにさつまいも畑が広がっています。

早々に農園の門を叩き外注(個人事業主)として働かせてもらうことに。

実際農業やってみたら夏は暑い、、冬は寒い、、日々土や汗にまみれて体はボロボロ。でも不思議と心は満たされていきました。
「こんなに人(自分)って変わるんだな」と感じさせてくれました。

■ 焼き芋屋「縁」開業

農業経験も今年で5年目に入り自分で育てたさつまいもを仕入れさせてもらい念願の焼き芋屋を開業。
通勤でも使用している軽バンをキッチンカーとして「蜜芋屋”縁”」をスタートしました。

最初はお客さんが来ない日もありました。
でも諦めず続けていくうちに少しずつ足を運んでくれるお客様が増え「すごくおいしいね」「こんな芋初めて」「また買うね」って言ってもらえるように・・泣

道の駅であのとき感動したように今では沢山の方に喜んでもらえてる——ああ、、あのとき不安を押しのけて一歩踏み出したことは間違ってなかった、、自分が求めていたものはこれだったんだって確信したんです。

■ 人生に遅すぎることはない

パチンコ業界での20年間は決してムダではありませんでした。今の僕の生き方はあの時の“違和感”と向き合ったからこそたどり着けた道です。今では農園直営の芋パフェ専門店や地元の道の駅等々で実演販売に挑戦したり東京のとある診療所などで地域活性化の為のイベント出店なども始めたりしています。

■ 最後に もしあなたが今立ち止まっているなら

私のように40代で人生を大きく変える決断をするには勇気がいりました。でも人生の舵取りに「遅すぎる」なんてことは一つもありません。むしろ何かに気付き踏み出した時が一番若い!今ではそう思います。

あの日感動をくれた焼き芋のように、誰かの心をそっと温められる存在になりたい、そして体が動く限りこのさつまいもを作り続けたい——それが今の私の事業ポリシーであり第二の人生目標です。

とりわけ農園の仲間は20代がもっとも多いので就農中はコミュニケーションも特に気を配りますw

最後に、、縁のブログを読んで頂き、有難うございます。

ひとりでも多くの方に縁の焼き芋をお届けできるよう今後も努めていきます。

——成田芋匠 蜜芋屋「縁」店主

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